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「きぬたや」
※2006年9月03日を以て閉店されました
知らなければこれで営業中だとは誰も思うまい
評価 ★★★★
住所 東京都国分寺市西恋ヶ窪4-30-24
Tel.

042-326-3221【要予約】

最寄り駅

西武国分寺線恋ヶ窪駅徒歩3分

アクセス
営業時間

11時半〜 15時半 月、金曜休
【要予約】(2005.03.02現在)

席数

16(1F大テーブル8+2F8)

駐車場 2台分
最終訪問

2002.03.16(初囘訪問1997.01.07)

もしあなたが、ふと思い立って「きぬたや」に立ち寄っても、蕎麦を食べることはおろか店に入ることも出來ないであろう。営業時間になつても・・・いや何日経っても、ずっと、暖簾が外に出されることはない。
この店の蕎麦は、常連客と予約者の分しか打たない。そして、それが売り切れると店を閉めてしまうのだ。店主が全て石臼で手挽いているのだから、まあ仕方のないことなのだが。

「玄蕎麦の持ち味を引き出してやって、それが生きているうちに出すだけです」
柔和な笑みを浮かべ、店主の山中昭敏氏は語る。
「だから、明日は今日とは全く違う蕎麦になるかも知れません」。

目標とされているは島田の「藪蕎麦宮本」とのこと。
「宮本晨一郎さん、彼は本物の職人です」
「私はとてもそこまでにはなれませんので、お客さんのお好みに合わせて打たせて頂いてます」
常に笑顏を絶やさず、蕎麦の話をするときはひときわ樂しそうである。兎に角ほっとする人柄なのは、元保父さんだったというのもうなずける話だ。
「初めてのお客さんは緊張します。常連さんと違って好みがわかりませんから」
「常連さんからも『好みに合わせるのではなくて、自分が一番いいと思うのを打ったらどうだ』とか言われることもありますが、全く違う性格の蕎麦を打つのではなくて狹い範囲での打ち分けだからこれでいいと思っています」とにこやかに語る。
確かに打ち分けとはいってもそれは本当に微妙な違いで、石臼を一囘まわす間に蕎麦を3粒いれるか5粒いれるか、また茹でる時間が5秒か10秒か、位のものである。それでも常連さんはそこまで見分けるというから、こちらとしてはそういう人逹の方が余程こわいと思うのだが・・・

店内の方に向け、仕舞われたままの暖簾。

さて、話を蕎麦に移そう。

徳利ではなく猪口に入って供される、甘さを抑えたツユは色が薄くダシも少し弱目だが、かえしはしっかりとしていてキリッと辛い。個人的にはもう少し甘さがあった方が好きではあるのだが、これはこれでまあよく出來ている。

今囘訪問時には1. ぼたん(鹿追町・生産者竹俣氏)、2. 北早生(きたわせ)、3. ひたち秋そば(下館町・生産者川田氏)、4. ぼたん(二枚目)、5. 平打ち湯そば、6. 太打ちぼたんそば の計5種類6品が供された。
冩眞を比較して頂ければ分かると思うが最初の三種類は見た目が殆ど變わらないし、味の違いもこれまた本当に微妙すぎて文章では表現し難い。全体をまとめて言ってしまうと噛むと彈力があり、どちらかというと喉越しよりもむしろ齒ごたえが心地良い蕎麦、という印象だ。そして今囘は、以前訪れた時よりも香りが立たなかったのだが、そんな私流のいつもの評価も、この店ではあまり意味をなしてはいない樣に思えてくる。
いや、私自身が「きぬたや」の蕎麦を理解する境地に至るまでには、まだまだ修行が足りないのかも知れない。

ゆっくりと時間が流れていく店で、「きぬたや」の蕎麦に魅入られた限られた人逹のみの爲に、店主は今日も石臼を囘す。

そして、この店の暖簾が外に出されることは、これから先も、永遠に・・・ないのであろう。

主なメニュー:せいろ1000円、追加700円
酒:
義侠、磯自慢

(代金は2005.03.02修正)
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