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石臼びき手打ちそば「なからぎ」
(いしうすびきてうちそば なからぎ)
道から少し奥まったところに控え目に存在する。
評価 ★★★
住所 京都市北区上賀茂岩ヶ垣内町89-1
Tel.

075-703-4082

最寄り駅

市営地下鉄烏丸線北山駅

アクセス 北山通り一夲北側の道南沿い
営業時間

11時半〜16時半 水休

席数

18席
(カウンタ2、テーブル4×2+2×4)

駐車場 無し
(店の向かいと隣がコインパーキング)
最終訪問

2004.09.04(初囘訪問2003.09.20)

一時期ほどの混雜は無くなったとはいえ、週末ともなると北山通周辺はやはり賑わう。
しかし、たった一夲通りを入っただけで嘘の樣に閑靜になるのが面白い。
そんな、北山通の裏側にひっそりと佇む店が「なからぎ」である。

席數は18席。座敷は無いが適度に余裕のある造りで、なかなか落ち着ける。昼下がりに訪れると、坪庭の明るさが心地良い。

道路に面して控え目な看板が

坪庭がいい雰囲氣を醸し出している


先づは酒。以前は冷酒が「酒呑童子」純米と「久美の浦」純米吟醸の2種類、燗酒は「伝心」(福井)の本醸造であったが今囘の訪問では「久美の浦」「伝心」が消えて「清泉」(新潟)、「出羽桜」(山形)、「八海山」となつていた。
個性的なラインアツプが少々一般向けになってしまったのは少々がっかりだが、山廃、特別純米、吟醸、本醸造と分けて揃えているあたりはやはり心憎い。
以前から引き続き品書きに載る「酒呑童子」は派手さは無いがしつかりとした造りで、山廃らしく澁味にも似た酸味を感じる。コクに関して言うと少々物足りないものの、その分蕎麦の味を邪魔しない。

そして、酒のアテである。今囘、いか塩辛やほやこのわた等ナマグサ物が加わってしまったことは複雜な心境だ。加えて「そばがき」「鴨塩燒き」という、蕎麦屋ならではのメニウが消えてしまったのも惜しまれる。
しかし、くよくよしていても仕方がないので新たに加わった珍味の中から「あわ紅豆腐」(冩眞下左)を試してみる。沖縄の、豆腐を泡盛と紅麹に漬け込んで醗酵させた「豆腐よう」とほぼ同ぢ味わいではあるが、こちらは日夲酒を使っているからか香りが穩やかである。ねっとりとした食感とコクのある味わいに、ついつい酒が進む。
ナマグサものは放置しといて蕎麦屋のアテの定番、「にしん煮」(冩眞下右)に移ろう(まあ此も生臭いと言っちゃあ生臭いのだけど)。此処のにしんは京風の薄味で柔らかく炊かれているが、東京風の濃い〜味付けの方が好きな私でも十分滿足出來るのだからなかなかよく出來ている。匂いが弱いので少々拍子拔けするけれども逆に、この程度に抑えられていた方が蕎麦の香りを邪魔しないで良いのかも知れない。
天種」は、海老2尾に舞茸、ししとう、三つ葉とかぼちゃが載る。揚げ方はなかなか上手い。

あわ紅豆腐600円

にしん煮700円


さて、ここいらで蕎麦に移ろう。
つなぎ五分の「ざる」は細切りで、香りはそこそこ立ち、喉越しも良い。

「肩の力の拔けた、いい蕎麦ですよ」

と、「ろあん松田」の松田文武さんが言っていたのを思い出す。
そう、全てにおいて力みがなく、「ほどほど」「そこそこ」で自然体なのだ。
しかし、目を見張る樣な派手さこそ無いものの、それでいてひとつひとつの仕亊がきっちりとなされていることに感心する。飛び拔けて美味い訳ではないのだが、文句をつける点も全く見当たらない。まさに「ちょうどいい」塩梅の蕎麦である。
ツユも一見薄くみえるが実際、かえし、ダシともにしっかりしていて必要十分の出來だ。

平日のみの限定であった十割の「粗びきざる」は、「粗碾き」ではあるが「ざる」と同じ位の細打ちで、十割にしてはなかなか喉越しが良い。しかし、初訪時は季節のせいか、逆に「ざる」の方が香りが立っていた。(2004年9月現在は土曜も注文可能であつた)

ざる(左)と粗びきざる(右)の比較。
冩眞ではわかりにくいかも知れないが、粗びきざるの方は挽きぐるみの粒々が見える


とかく手打ちの店というと、店主がアツい店が多い。比較に用いて恐縮だが、すぐ近くの「じん六」さんは店主の若さもあってかとても情熱的に蕎麦を打つ。そのストレートにこちらに伝わってくる樣な熱意は、それはそれでとても素晴らしいものなののだが、その直球勝負を受け止める爲に心の準備が必要なるが故に受け手であるこちらの方が時に疲れてしまうことがある。
「なからぎ」店主の白江誠章氏は全く表には顏を出さず、厨房で黙々と自分の作業をこなしている。
気負わずに「ちょいと蕎麦でも」と思い立ったとき、ふらりと立ち寄れる敷居の低さがこれまた好ましい。

「なからぎ」の蕎麦は、わざわざ遠くから出向いてまで喰う程のものでは、決してない。
しかし、かような店が自宅から徒歩圈内にある私はとても幸せものである。と、そう実感させてくれる店なのである。

2004.10.17追記
前は11時半〜14時半、17時〜20時T2004年に11時半〜16時半に変更された。中休みの無い、「まっとうな」蕎麦屋の營業時間になったのではあるが、夜の營業が無くなってしまって嘆いておられる諸兄も少なからずおられることであろう。

主なメニュー:ざる750円、粗びきざる800円、辛味大根おろし850円、かけ700円、鳥なんば(京地鷄・宮津産)900円、にしんそば、天ぷらそば各1200円、あわ紅豆腐600円、にしん煮700円、天盛800円、小天丼(夕方より)800円他
酒:酒呑童子・山廃純米、清泉・特別純米(新潟)、出羽桜・桜花吟醸(山形)他

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