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「手打蕎麦切 萬吉」
(てうちそばきり まんきち)
別莊地の奥まったところにぽつんと建つ
評価 ★★★★
住所 北巨摩郡小淵沢町上笹尾3332-1651 
Tel.

0551-36-5773(予約不可)

最寄り駅

JR小淵沢駅より約3〜4km

アクセス 小淵沢駅より北東方向、
くんぺい童話館近く
営業時間

11時〜15時(売切次第閉店)
月、火休 冬期休業あり

席数

24席(テーブル4卓) 店内禁煙

駐車場 11台 
最終訪問

2002.11.23(初囘訪問同ぢ)

小淵沢の「萬吉」といえば蕎麦好きのスジの者の中では有名だ。別莊地にあるのだが、中心部を離れた少し奥まったところのわかりにくい場所なのに、休日ともなれば県外ナンバーの車が殺到する。

店の前には
「お急ぎの御客様は御遠慮願います」
「十三才未満の方は御遠慮願います」
との貼り紙がしてある。店内は当然の如く禁煙だ。

品書きは十割そば(1200円)ただ一品。季節によっては玄蕎麦の黒い外皮を除いた「」と、逆に外皮まで挽き込んだ挽きぐるみを使う「」との二種類が選べるが、あとは酒とヱビスビールがあるのみである。

綺麗に整頓された店内。


店内にはテーブルが4卓(冩眞上)。詰めれば6人座る亊が可能かと思われたので全24席としたが、6人がけは少々窮屈そうだ。訪問時は一人客がいなかったので一人の場合はわからないが、基夲的に相席はない樣なので落ち着ける。(その分待ち時間が長くなってしまうのだが、まあ仕方あるまい)

いつもの如く先づは酒。蕎麦同樣こちらもシンプルに大阪は池田市の「呉春」ただ一種類のみだ。関西の地元では珍重する人もいるが私の好みからは外れた記憶に殘らない酒で、どうしてはるばる山梨くんだりまで遠征して大阪の酒を飮まねばならないのか、と一抹の寂しさを感ぢる。
私の友人逹が此の店を訪れた時にはたまたま「呉春」が切れていて地元山梨の「七賢」だったそうで、羨ましいことこの上ない。


食べ物は蕎麦だけしかないのだから、いきおい蕎麦をアテに酒を飮むことになる。江戸の粹人はそういうこともしたそうだが、乾燥してゆく蕎麦を氣にしつつ飮む酒はとてもせわしない。蕎麦を楽しむ爲に酒肴は置いていない、とのことだがこれまたやはり寂しい。

ここいらで・・・ではなく、既に酒の途中で蕎麦は來ている。特注の備前焼の重量感ある皿に盛られたその姿は美しい。
新蕎麦の季節のみに供さるるという白い方の蕎麦は10割だというのに喉越しが素晴らしい。しかも「ふじおか」程の鮮烈さとまでは言えないものの飮み込む瞬間に喉の奥から立ってくる香りも心地良く、とてもバランスのいい蕎麦だ。
一方、荒挽きで挽きぐるみを使っている黒い方の蕎麦はややザラつきがあり、「白」と比較すると舌触り、喉越しともに落ちるのだが、もう口に含んだ瞬間から強烈な蕎麦の香りが立ちのぼる。喉越しが落ちるとは言ってもあくまで此の店の「白」と比較してのこと。他店の「荒挽き」とは比べものにならない程つながりは良く、荒挽きの十割をブツ切れにならずによくここまで打てるものだとその技量に感心する。
ツユはカツオの香りがはっきりとしたダシ主導型で、甘さ控え目の硬派なタイプ。ただかえしが弱いせいかやや薄く感ぢられ、新蕎麦の強烈さには少し負けてしまっている樣だ。

奥が 「白」、手前が「黒」。
ヴイジユアル的には「白」の方が備前燒きの皿に映える樣に思う。


さて「白」と「黒」のどちらがオススメかと言われると、この時期なればもう迷うことなく「白」であると答えるだろう。香り、舌触り、喉越しが高次元でバランスされた絶品の蕎麦を、是非とも味わって頂きたい。
しかし日頃それほど蕎麦にこだわっていなかったり、觀光氣分で立ち寄られた方には鮮烈で分かり易い味の「黒」の方が良いだろう。実際、私が訪問したときにも「黒」を注文さるる人の方が多かった。

惜しむらくは新蕎麦の荒々しさが落ち着いて、蕎麦が香り立ちつつ美味くなる時期に冬期休業に入ってしまうことだ。(2002年度は12月09日〜翌2003年03月20日迄であつた)まあこのロケイシヨンではそんなシーズンオフに營業しても客が來ないのであろうが・・・

「萬吉」はあらゆる贅肉を削ぎ落とし、ただ蕎麦を味わう爲だけの店である。
そのあまりにも割り切った潔さを歡迎する向きもあろうが、私は食後、何か滿たされ切れぬものを感ぢた。蕎麦自体の出來は☆☆☆☆☆の店と比較して何ら遜色ない筈なのに、☆を一つ減じてしまったのはそれ故だ。「評価の基準は味がすべて」とかうそぶいておきながら感情論らしきものに動かされてしまったことはお恥ずかしい限りだが、今囘は直感のままに評価させて頂くことにする。

最後に、一日30食限定とのことだが我々は2人で訪れ5枚食した。他の席でも一人2〜3枚は注文していたので夲當に30食限定なれば、2〜3囘転で品切れになる筈なのにどう見てもそれ以上の行列が出來ている。・・・まあ深くは詮索すまい。(笑)
(2004.04.05記亊)

全メニュー:十割そば1200円(「白」又は「黒」)
酒:呉春600円、エビスビール

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