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「戸無のそば屋」(となしのそばや)
休日には店の前に行列が
店主;小笠原和夫氏
評価
住所 阿蘇郡南小国町赤馬場戸無2842
Tel.

0967-42-1510

最寄り駅

JR豊肥本線阿蘇駅からR212を北上、
自動車で40分

アクセス 小国町よりR212を南下
営業時間

11時〜17時(10月〜3月は15時迄)
年中無休

席数

不詳

駐車場 有り(20台程)
最終訪問

2001.09.22(初囘訪問同ぢ)

ホームペーヂあり
遲い夏休みを取って阿蘇を旅したとき、小国よりR212を南下していると「そば街道」なる看板を見つけた。
この邊りには學生時代から何度か來たことがあるが、蕎麦が有名だとはついぞ聞いたことなどなかった。丁度昼時だったということもあり、興味半分でふらりと立ち寄ってみた。
「そば街道」という店でもあるのかな、と思いつつ案内通りに車を走らせると、R212から入った道の端に「われもこう」「花郷庵」と蕎麦屋が續き、その一番奥に位置していたのが此の店である。

駐車場から石疉を歩き店に向かうと、「そば街道発祥の地」なる看板がある。敷地は何と7500坪だそうで、自然に囲まれた環境、雰囲氣は格別だ。
この日は三連休初日の土曜日ということもあり、異樣な混みようをみせていた。1時間近く待ち、ようやく入店となる。

品書きの最初に
「夲日は遠路おいで下さいまして誠にありがとうございます。心より厚く御礼申し上げます。」
「少々手間どる献立もあるかと思いますが納得のゆく料理を差し上げたいと努力致しておりますのでどうぞお許し下さいませ。」
「戸無の風情を充分にお楽しみいただきながらどうぞごゆっくりとお召し上がり下さいませありがとうございます。」
と、ある。

「ゆっくりと」樂しむべく、アテになりそうな季節の小料理のついた「四季の風」(3800円)を注文し、例によつて先づは酒。
酒の種類は違った個性を持ったものを集めてあり、バラエテイに富んでいてなかなかよろしい。私は「マル祕当店主人好みの酒」なる酒に興をそそられて注文したのだが、殘念ながら記憶にも記録にも殘つていない。
取材時、酒の種類は上記だけであったが、現在は「きよらなり」という南小国町の農家が無農藥栽培した米を大分県日田市の井上酒造に委託して作り上げた純米吟醸があるので試してみるがよかろう。

一品料理に関しては冩眞を參照して頂ければわかる通り、到底蕎麦込みでその値段程の価値は無いと思われる程度のものでしかない。
「戸無の地下水と内田農場の大豆を使用している」との能書きの、手づくり自家製の「戸無とうふ」も舌触りが惡く、ザラつく割に味が薄い。大豆の味を樂しむことを拒み、まるで戸無の地下水の味を試せといわんばかりの薄さである。
まあ旅先で氣が大きくなっているのでそこいら辺は大目に見ることにするが、許せないのは蕎麦の供し方だ。コースを頼んで酒を飮んでいるのに、最初の料理1、2品に手をつけた位ですぐ蕎麦が出て來たのは不粹極まりない。
その樣な光景は休日に觀光地の蕎麦屋を訪れた時には別に珍しくも何ともないことなのだが、とても「ごゆっくりお召し上がり」出來る状況ではなかったことを明記しておく。品書きの前置きは一体、何だったんだろうか?そらぞらしさが際立つ。

そしてその、殆ど酒を飮む間もなく供された蕎麦であるが、「石臼自家製粉の荒挽きそば粉の名物ざるそばです」との能書きがついた「戸無そば」は香りこそあるものの、水分の調整がいまひとつで乾燥気味、上あごにひっついて喉越しはとても惡い。「※当店のそばは良くかんでお召し上がり下さいませ。」との注意書きがあるが、わざわざ言われなくとも到底噛まずに飮み込める樣なシロモノではない。
そんな蕎麦がかなり大きな箱せいろ一面に広げられているのだからたまらない。他の料理を食べていくあいだにもどんどんと乾燥が進み、結局、殆どを殘す羽目になってしまった。
「太麪黒くツヤあり、荒挽きそば粉、つなぎ無しの田舎そばです」との能書きで、一日限定30食の「玄(くろ)そば」は見かけ程にはごわごわしていないが、その見かけ程には香りも立たない。そして、こちらの蕎麦にも「このそば、良くかんで食しますと仲々味深いそばでございます」との注釈がついている。
結局、此の店には喉越し良く、啜って樂しむタイプの蕎麦は無いということだ。暴力的な蕎麦の量はただ腹を膨らしたいだけの人にはいいかも知れないが、量よりも、味と出し方にこそもっと心を配ってほしいものだ。

ツユの出來も今ひとつ。色こそ濃いのだけれど、椎茸のダシのみが矢鱈突出しすぎている。まろやかだとか角が取れている、とでもいえば聞こえはいいのだが、ただ單に弱いだけだ。蕎麦湯も味こそすれど薄く、感心出來なかった。
また、温かいダシに浸かって供されるそばがきも粘りけ少なく、ふうわり感も無ければ香りも無い。
粘土みたいなシロモノよりはマシなのだがそばがきとしての美味さは全く感じられない。

待たされたことで期待が膨らみ過ぎていたのか、端境期の蕎麦では味が出せないのか、とても値段と待ち時間をかけるだけの価値は見出せなかった。だが最後に食した「小国郷のジヤージー牛乳をたっぷり使った」という自家製ソフトクリームのみは確かに牛乳の香りが良く、濃厚な生クリームの如きしっかりとした味でとても美味かった。此の店で唯一評価することの出來るメニウである。
(2003.09.05記亊)

主なメニュー:四季の風(季節の小料理、そば粥などとのセット)3800円、玄そば(小料理つき)2500円、皿そば3種類(無量寿1800円、旗返し1500円、玄そば1500円)、山菜そば、山芋そば各1500円、かけそば1200円、そばがき石臼粗挽粉1200円、石臼並粉1200円、山女魚塩焼700円、同背ごし1000円、戸無豆腐450円、そばぜんざい1000円、本葛もち1000円、自家製ソフトクリーム350円
酒:田酒、繁桝、手取川、剣菱、久保田萬寿各1500円、マル祕当店主人好みの酒1200円

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